映画「私は貝になりたい」を見た。理不尽が当たり前の時代だ。戦争という狂気の中で日本全体に、感覚が麻痺していたのだろう。これも日本人自身が作ってきた、日本の歴史の一つである。
気になる場面があった。日本の軍隊が出る映画でよく見る光景ではあるが、天皇陛下という言葉を誰かが発っすると、その一瞬で全員が気をつけ状態になり、背筋までピンと伸びる。今から見ると不思議な光景である。もしかしたら天皇の歴史の中でも、あの時代が一番天皇が神格化された時代なのかも知れない。たかだか半世紀ほど前の話ではあるが、いずれにしても国全体に独特な空気が張り詰めていた時代であった。
今回主人公を演じた中居正広の役は、かっこよくもなんでもない、普通に臆病な一般人である。私は以前、彼の主演TVドラマ「砂の器」を放映中興味深く見た。役柄は違うが、ピアノ演奏にのせて日本の情景を美しく描いた部分など随所に似た雰囲気がある。共に見終わったあと心に暗さを残すが、どちらも良かった。
理髪師・清水豊松に、もし来世があるのなら貝などではなく、また人間に生まれて来ることを望みたい。今度こそ普通の人が、平凡に暮らせる時代に・・・。
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